一応、この文章は実際に操作してテストしながら作っていますが、この手順に従ってもうまく行かない場合があるかもしれません。自己責任で何とかして下さい。
Kinetic RiscPCのパッケージを開けてみるにも書かれているように、単純にKinetic RiscPCを注文した場合、製品にはHDDの内容が消えてしまった時のリカバリを行うためのCD-ROMが添付されていません(基本的に、何らかのトラブルが発生した場合はディーラーに頼んで何とかしてもらう、というスタンスのようです)。もちろん、Castle-Technologyに問い合わせ、HARD DRIVE BACKUP CDという名のリカバリ用CDを入手することはできるのですが…困ったことに、これだけでは何もできません。
というのも、例えばHDDの破損などで!Bootが存在しなくなった場合、RISC OSそのものは起動するもののCD-ROMを読み込むことができません。よって、リカバリするためにHARD DRIVE BACKUP CDを読もうと思ってもできないということになります。また、HARD DRIVE BACKUP CDにはCD-ROMに関する一切のドライバは含まれていません。
(上)HARD DRIVE BACKUP CDに含まれている!Boot.Choices.Boot.PreDesk…zAtapiが含まれていない (中)HDDに入っている!Boot.Choices.Boot.PreDesk (下)CD-ROMを動かすために必要なzAtapi…AtapiDrvrがCD-ROMドライバ(Module) |
周りにRiscPCを使っている・持っている人がいればその人に頼んで何とかしてもらうという方法が使えますが、そうでない場合はメーカーなりディーラーへメールで救援を求めるなり、最悪の場合は英国へRiscPCを送って直してもらうなんてこともあるかもしれません(当然ですが、これには相応のコストがかかってしまいます)。
よって、トラブルが発生した場合に備え、RiscPCを購入した直後には必ずHDDの内容をバックアップしておくようにするべきです。
HDDの内容をバックアップするために、以下の物を使いました。FDで保存するにも量が量なので、FTPサーバを経由してCD-Rへ保存しておこうという算段です。ただし、復元の際にCD-ROMドライブを使用するため、CD-ROMドライバであるzAtapi.AtapiDrvrをフロッピーディスクに保存しておく必要があります。
ここまで書いてしまえば、特に説明しなくても大丈夫だとは思いますが…一応、書いておきます。
まず、ADFS::HardDisc4.$にある!Bootをダブルクリックし、Network→Internetへ進みます。Internet configurationにある、Interfaces, Routing, Host namesの設定を済ませてネットワークを利用可能な状態にしておいて下さい。
ネットワークの設定例です。基本的に、特に難しい物は無い筈ですが…InterfacesのNICにチェックを付けておかないと、NICが使えないので注意しましょう。 |
次に、ADFS::HardDisc4.$に適当な名前のディレクトリを作成し(中ボタンクリック→New Directoyで作成できます)、この中にバックアップを取りたいデータを放り込むと作成したディレクトリ内にデータがコピーされます。※Windowsと異なり、ディレクトリへや他のウィンドウへのdrag & dropは移動ではなくコピーです。
ネットワーク経由でRiscPC上のHDDにダウンロードするか、MS-DOSフォーマットのフロッピーディスク経由で持って来る等の手段を使って、ZipEEをRiscPC上へ持って来ます。ダウンロードしたZipEEはPKZIPで圧縮されていますので、(ADFS::HardDisc4.$.Utilities+にある)!SparkPlugを使用し、ZipEEを解凍します。
ZipEEが解凍できたら(!ZipEEというのが出てくる筈です)、これを使ってバックアップしたいデータを放り込んであるディレクトリを圧縮します。あとは、この圧縮されたものを!FTPcでFTPサーバに転送し、CD-Rを焼けるマシンでダウンロードしてCD-Rに保存しておきましょう。
なお、FTPサーバにフォルダを直接放り込めそうに見えますが、この方法は使えません。というのも、RISC OSの場合、ファイル種別は拡張子ではなくFiletypeという12bitのIDで管理しているため、これも併せて保存する必要があるのです(Filetypeは簡単に変更できますが、全てのファイルを手作業で変更するのは面倒でしょ?)。
HDDの内容が吹っ飛んでしまった場合は冒頭にも書いたように、最低限のブートはできるものの!Bootが存在しないためにほとんど何もできません。また、たとえHDDの内容をFTPサーバ経由でCD-Rへ逃がしたとしても、これが読めなければ…お話になりません。
よって、復元するための道具として、以下の2点を用意します。
RISC OS 4 Installation CDの中には、基本的な!Bootや!HForm等のユーティリティーが多数収録されています。ダウンロードには時間がかかりますが、万一のことを考えておくと入手する価値はある筈です。
ADFSフォーマットのfloppy disc(RISC OS上から書き込むのであれば、MS-DOSフォーマットでも大丈夫そうです)には、最低限以下のファイルをコピーしておいて下さい。
!Bootに限らず、!で始まる全てのディレクトリ名はアプリケーションとして認識されてしまいます。よって、このようなディレクトリを開く場合はshiftキーを押しながらダブルクリックして下さい。
AtapiDrvrさえあれば確かにCD-ROMが読めるのですが、RISC OSが何台のCD-ROMドライブを使用するかの情報はCMOS RAMに書き込まれています。また、この情報が!Bootによって変更される、ということは…!Bootが存在しない状態でCMOS RAMの内容が壊れてしまった場合はたとえドライバがあってもCD-ROMは読めません。よって、SETONECDも併せてコピーしておく必要があるのです。
さて、これで準備が整いました。あとは、!HFormでHDDの内容を消そうが、何をしようが、大丈夫…な筈です(弱気)。
復元する手順は、大体こんな感じです。
あとは、ネットワークの設定を行ってFTPサーバからバックアップしたデータをダウンロードするなり、CD-Rに焼いたデータを復元するだけです。
なお、一旦!Bootをインストールしていますが、これはネットワークや!SparkPlugを使用するために必要だからです。あくまでも最低限必要なアプリケーションを動かすために入れた仮の!Bootですので、必要に応じてバックアップしたものと置き換えて下さい。
!FTPcや!SparkPlugはRISC OS 4 Installation CDに入っています。
uaa@woodstream.gr.jp 13-Jan-2003