どうやら、私は、事実を、私の記憶に残っているだけ、ここに書き留めなければならないという使命を負ってしまったようだ。
まさか、池口助手、中村助手、関島氏、野崎氏、私で昼食を食べていたときにその伏線があると誰が想像したであろうか?
表題通り、その嵐は突然やってきた。今日行われた、ゼミの時間に、である。
本題に入る前に、簡単にゼミについて説明しておこう。我々生物情報研究室のゼミは、毎週1回、主に月曜日に行われることが多いのだが、誰か1人が自分のテーマについて発表し、ディスカッションを行うというごくごくありふれたものである。発表が終了すると、他のメンバーの進捗状況を発表し、その他連絡事項を伝え、次回のゼミの日程を決定して終了する。
その連絡事項を伝える時間に、まさかあのような事態が起ころうとは…思わず筆を持つ手が固くなってしまうが、事実を記すのが私の役目ゆえ、書けるだけ書かなくてはならない。何しろ私に残されている時間はあまり多くないのだから…
話を切り出したのは、野崎氏である。「実は、結婚します」、と。
これくらいの話なら、よくあることであるし、どこからともなく「相手は?」という質問も当然起こる。
彼は「実は、来ているんです」と少し恥ずかしそうに質問に答え、次の瞬間、我々は驚きのあまり言葉を失った――――
その相手とは、瀧口嬢だったのだ!!
彼女は、毎年さまざまな研究室を回って仕事をしており、本年は当研究室に秘書として勤務しているのである。
今年の6月から配属になり、明日から9月になるという日に将来結婚するという発表…どうやら、この3ヶ月の間に、我々の預かり知らぬところで関係を深め合っていったようだ。
一応断っておくが、この発表での細かい台詞回しについてはきちんと覚えている訳ではない。反論等があるであろうということも当然予想している。詳細については彼等の詳細な報告に期待されたい。
二人が幸せになることを祈り、筆を置くことにしよう。